日々是好日

日々是好日(にちにちこれこうじつ)は禅の言葉。日々の小さな発見や小さな幸せを綴る鍼灸師のブログです。趣味や仕事のことを書き連ねています。

読売巨人軍の沢村選手の不調が鍼治療による施術事故であると報道された件について

こんにちは!日々是好日へようこそ!

鍼灸師のAriesです。題名の通り、あちらこちらで報道されています…。

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沢村選手の不調の原因が球団トレーナーによるはり治療によるものとされ、球団が沢村選手に謝罪したという一連の流れですが、個人的な見解を。

www.sanspo.com

まず、この報道を受けたときの率直な感想は「そんな馬鹿な!?」でした。しかしまあ、テレビや新聞の影響力って凄くて多くの患者様から「鍼って大丈夫なの?」と聞かれることも少なくなく、色々と考察してみました。

 

まず、大前提として。

「はり治療による神経麻痺は、可能性がゼロであるとは言えないが極めて低い確率である」と考えます。

 

ゼロとは言えない所が様々な憶測を呼んでいると思いますが、そもそもどんな自称であれ100%や0%はあり得ない訳で。

極端に言ってしまえば、我々が意図的に神経を狙って損傷させようとしても中々できるものでは無いと考えます。

勿論、神経の場所によっては狙いやすい/にくいが分かれますが。

 

今回、沢村選手は長胸神経の麻痺による前鋸筋の機能不全(麻痺)だと報じられていますが、長胸神経って前頸部から前胸部(肋骨)辺りを走行している神経なのでそんなデリケートなところに神経損傷を引き起こすほどの治療をプロのトレーナーがするのか?というのが最大の疑問。

 

前胸部や肋間なんて鍼灸師なら誰もがリスクを感じる「気胸」の好発部位。長い鍼の使用や深い位置までの刺入はもちろん、刺激の強い手技による治療は基本的に禁忌とすらする治療師も多い部位です。

先述しましたが、そんなリスクの高い部位に。それもプロ野球の公式トレーナーが。

わざわざ神経損傷を起こすほどの治療を選択したとはどうも考え難いんですよね…。

 

勿論、今回の件は複数の医師による診断の元、球団がその責任を認め謝罪に至った訳ですからそれ相応の裏があるとは思います。

ただ、報道には少し誤解を生むような表現が多いような感じも受けています。

今回の報道内容をしっかり読むと

 

①2月のキャンプ中(2/14~3/1)に右肩の不調を感じ

②2/27にはり治療を受けた後

③長期的に症状が改善されず

④調査(診察)をしたところ、上記のような症状が外的要因(はり治療)によって起きている可能性があると発表された

 

という流れです。

そもそも最初の右肩の不調の段階で神経麻痺を引き起こしていた可能性は?

はり治療を受けた後に症状が悪化しているのであれば確定だと思いますが症状が変わっていない程度の治療であったにも関わらず鍼による神経麻痺?

 

この部分についてはとても違和感を感じます。下手すれば鍼灸業界全体への大きな影響を産み兼ねない事件であるにも関わらず、日本鍼灸師会や全日本鍼灸マッサージ協会は何の声明も出していません。危機感なさすぎだろう。

詳細な診断結果や明確に鍼治療が原因と言えるエビデンスの開示、他の鍼灸師に対する問題提起や危機管理についての周知とかしないのでしょうか。協会の意味って…。

 

鍼治療は、確かに皮下に鍼を刺す訳ですからそりゃ出血したり、刺した場所が痛んだり、乱雑に行えば気胸や神経麻痺だって起こす可能性が0とは言えません。

ですが、一般的に行われている鍼灸師による鍼灸治療はそういったリスクを考慮し、最小限のリスクで最大限の効果を生むように行っている筈です。

一部では誤解を招いている事がありますが、鍼灸師は国家資格です。そういった解剖学的な最低限のリスクを考慮できる位の知識は持ち合わせている筈です。

どうか、鍼灸そのものを「危ない」とか「怖い」とか思わない様にして頂きたいと切に願います。

そして、沢村選手については一日も早い回復と戦線復帰される事を心から願っています。

 

少し長くなってしまいましたが、イチ鍼灸師として個人的な感想を述べさせて頂きました。

私自身、日々の現場で治療を行うにあたって今一度気を引き締めていかなければと感じた次第であります。

 

今回も読んで頂いた方、ありがとうございました。